第13章

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お・ま・え・はああ、どうしてそんな所から表れるかなぁ? 「先日、この城の結界ではセルさんを止められないと判明したので、改めて張り直したんです。またあんなに派手に壊されても大変ですし、セルさんだけは結界対象外と設定することになりました」 「らしいから、ちょいと見学に来てみたんじゃ。ちょっと痒いくらいじゃけど、まあ許容内じゃな」 まるで俺の脳内が見透かされたように、ジャストタイムに説明したアルフレッドさんと、 何故か上から目線のセルに、溜息をつく。 「そうじゃ、サチ。お主も一緒に見学しようぞ」 「俺はもう結構十分に毎日見学してるから良いよ。先帰るな、疲れたし」 もうそろそろこの茶番も良いだろうと、凝った肩を回しながら踵を返せば 「ま、待つのじゃ!」 「っま、待ってくださいサチ君!」 慌てて止められる。 「サチ、今日は一日僕に付き合ってくれる筈だろう?」 そして一人悠長に構えている風のサリスも、掴んだ俺の腕を離さない気でいるらしい。 ……いつの間に…。 「サチは今日がなんの日なのか、覚えていないそうだ」 「サチ、お主…本当に今日がなんの日か忘れておるのか!?」 「…そんなサチ君。チラリとも脳裏を掠りませんか?」 芝居がかった驚愕を披露する二人に、呆れ気味に言われなんだか腑に落ちない。 大体、天然三人組にそろいもそろって俺を呆れた顔で見られる謂れはないぞ。絶対。 「なんなんだよ、はっきり言えよ…面倒くさいなぁ…」 本当に意味が分からないと、髪を掻けばチリンとイヤリングが鳴った。
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