飼い主は誰だ?

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ま、まぁ、何にせよ ここまではえぇんや…ここまでは。 けど、この人だけは 何か違うんや。 「山崎、起きたんだな。」 チラリと此方に視線を向け、"鉄仮面"がボソリと言った。 だから、 「お陰様で寂しい目覚めでしたわ。」 と、少しばかり嫌味を言う……って、オィッ! 自分で話を振った癖に、既に"鉄仮面"の視線は俺から離れ、隣の仔犬に向けられとる。 その眼差しが気に食わん。 いつも いつも、いっつも…! 可愛くて仕方無い、って。 心配で堪らない、って。 何や 分からんけど…愛娘を見守る父親っちゅうか、仔犬を見守る飼い主みたいな、そんな ほんわかした目で見とるんや。 さも、嘉寿羽の事を一番考えてるんは自分、みたいな雰囲気も気に入らんし、そんな"鉄仮面"に懐いとる嘉寿羽も気に入らん。 俺かて、こないな万屋稼業じゃなかったら、アンタみたいな立場になれる自信あるで? そんな自信があるから、余計にモヤモヤする… 根拠がない、なんて言わせへん。 嘉寿羽を拾ったのは、俺や。 一緒に寝起きするのかて、俺なんや。 ずっと傍に居れない分、二人で居る時は どんな事かて してやっとる。 そんな俺が、嘉寿羽の一番じゃない筈ないやろ。 それなのに… 当の嘉寿羽は、"鉄仮面"と筆談中って! 「……無視すんなや!」 今、ちょっとだけ架奈の気持ち分かったで。 確かに、自分が言うた事 聞いて貰えへんかったら苛つくわ。
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