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バッチい奴を抱えてるので、何となく庭を回って目的地を目指す。
「やっぱり、まだ起きとったか……」
障子戸から零れる灯りに肩が落ちる。
ほんま、あの人は何時寝とるんや……
鬼とは よう言うたもんや。
アレは、仕事の鬼やな。
嫌やなぁ~、変なモン拾てもうたから絶対 小言言われるやん……
分かってはいても、これから言われる事を考えれば憂鬱にもなる。
やっぱ、此奴……もっかい捨てて来ようかな。
……一刻も早く寝たいし。
本能と良心の板挟みになりながら、行き場の無い野良犬の様に庭をウロウロ歩いていると……。
スパンッ!
「テメェ、何してやがる。人の部屋の前で鬱陶しいんだよ!
さっさと報告………って、何だ……ソレ?」
部屋に籠もっていた鬼が、勢い良く障子戸を開いて小言を言い出しそうになって……固まる。
勿論、「ソレ」と言って指差してるのは、俺の肩に乗ってる此奴。
あちゃ~、間に合わんかったか。
迷うとらんで、さっさと捨てて来たら良かったんや。
こりゃ、少し厄介やな……。
未だ、俺の返事を待ちながら眉間に皺を刻む鬼は、いつの間にか腕組みをして俺を睨み付けていた。
その顔には……
厄介事増やすな!
仕事増やすな!
怪しい奴入れるな!
どれが正解か……寧ろ、全部正解なのでは、と思える程の不機嫌さが ありありと浮かんでいる。
気の所為かな?
もう一個、変な声聞こえそうや……
『……テメェ、くたばりやがれ!』
頑張れ、俺……。
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