すすむクン、仔犬を拾う

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妙な幻聴で若干涙目になる俺に容赦ない鬼が、低く唸りだした。 「テメェ、いつまで黙(ダンマ)り決め込んでんだ? 俺ぁ、気が短いんだよ。 何なら、今直ぐ日野まで遣いに出してやろうかぁ~?」 はッ!? 「日野」? 江戸やん! 実家へのお遣いやん! 無理 無理 無理━━━━━ッ!! 「門の前に落ちてました!」 「……『落ちてた』?」 「いや、倒れてた…って方が正確です。」 「テメェ…んな都合良くウチの前に倒れてた 行き倒れを、何の疑いも無く 中に抱えて入って来た、と?」 「はい!放って置いて死なれても 寝覚め悪いですし。」 うん、いい返事や。 俺ってお利口さんやなぁ~。 「……一遍、永遠に目覚めねぇ眠り、ってヤツ体験してみるか?」 「へ…?」 永遠に目覚めへん……って。 その恐ろしく低い声に弾かれる様に目の前の人物と目を合わせて後悔した。 腕組みしたまま斜に構え俺を見下ろす鬼の目が……爛々と光っとるぅ! 寝不足気味で充血してるから、凄み倍増やん! 「ソレって死……「一遍、死んで腹ん中から出直して来いやッ!!」」 やっぱりぃ━━━━━ッ!!? チュンチュンと可愛らしい小鳥の囀(サエズ)り響く夜明けに 木霊(コダマ)する鬼の怒声。 朝の爽やかさなど、何処かへ吹っ飛んでいく。
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