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『そんなことはないですよ。そちらは洛殿の御子息ですか?』
『そうだ。私の息子の天だ』
僕は一度、天さんに会っている…。でもどこであったかは思い出すことができない。会ってることは思い出せたのにどうして場所をおもいだすことはできないんだ。
僕がふらつくと藍永さんが支えてくれた。でもそのまま気を失ってしまった。
僕はいつになったらすべてを思い出すことができるのだろう?
いつまでこんな風に苦しまなくてはいけないのだろう?
あの時、牢からでなければ何も変わらないままでいられたのかもしれないと考えるようになってしまった。
赤城は知っていて僕は無意識のうちに進むべき路を赤城に決められているような気がする。このまま目が覚めなければいいのに……………。
「…んっ」
目が覚めると見たことのない天井が見えた。
「気がついた?…まだ顔色は悪いね」
額が冷たい…。額にふれると濡れたタオルがのせてあった。今回は熱も出したみたいだ。
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