1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
しかし私は母に「遠回りをしたい」と言って、反対の信号機を指差しました。
母は不思議そうに私を見て「ついでに伯母さんの家に行こうか」と言って承諾してくれました。
「いらっしゃい。あら?泣いた顔ね」
そう言って私の顔を見た伯母さんに「腕を引っ張られた」と言ったそうです。
「あれは、あなたが道路に立つから」
「お母さんじゃない。腕をブラブラしてたら、前に引っ張られたの」
その言葉を聞いて、いつも踊りの習い事で友達と例の交差点を渡るのですが、母は私が小学2年になるまでの数年間 送り向かいをするようになりました。
2年生になり、友達が自転車で通学するので私も自転車に乗ることにした夏。一度だけ、自転車が前に引っ張られた事がありました。
しかし私は道路に出ることも無く、自転車を歩道に戻し 何事もなく友達とお喋りする姿に母は安心したそうです。
「何があっても、信号機の無い場所から道路を渡らないこと」
「分かってるよ。毎週 同じことを言うね」
「まだ心配だから、言ってるの」
最初のコメントを投稿しよう!