堰(せき)

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堰(せき)

今の交差点が十字路になったのは、川の向こうと道路が繋がったからです。 それまでの川向こうに行く方法は2つ、数キロ離れた橋の道路を渡るか向こう岸と繋がったコンクリートの下を水が流れ真ん中が開いている構造の場所を渡るか。 確か堰と呼ばれていただろうか。 「向こう岸の住宅街で祭りが有るそうだ。行ってみるか?」 親族たちが集まる夏の日、仕事から帰ってきた父は私たちを祭りに誘った。 もちろん私たちは大喜び、皆が集まったら誘って行こうとなった。 「でも車が・・・」 父の車は、調子が悪いとかで車検場に検査してもらっている。 「まだ車を持ってるのが二人いるから大丈夫だ」 父は そう言ったが、多分 私たちは心配したことだろう。 父の車が無いことで乗れる人数が減り、誰か留守番することになるんじゃないかと。 「すみません。今日は電車で来ました」 二人の内の一人は子供が電車に乗りたいと言ったので、泊まりだからと車を置いて来ていた。
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