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「どうしたの?」
「イヤ」
「祭りに行くなら渡らないと」
「そうだぞ。後ろがつかえるから渡りなさい」
父に言われても私は板の端で動かず、嫌だと言います。仕方ないと お姉さんは抱っこしてくれました。
祭りの最中、何事も無かったように祭りを楽しむ私と同じように 堰で渡ってきた子供が数名泣いていたそうです。
大体は暗闇の川が怖い理由なので、私もそうなのだと思われました。
帰りも私は堰に敷かれた板の橋を渡るのを嫌がり、お姉さんに抱っこされ渡りました。
「渡っている間、あなた「テとメ」しか言わないのよ」
それから数年が経ち、久しぶりに会ったお姉さんは、思い出したように私に話しました。
テとメしか言わなかった、もしかして私は川の中に見える手と目を見たのでは無いでしょうか。
今は十字路の橋から祭りに行けます。もし今も堰から祭りに向かったら、答えは分かるのでしょうか。
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