青い目の人形

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 駆けつけた担当医により、簡単な診察が行われる。脈や心拍数に異常は見られるものの、命に関わる程では無かった。しかし、問題は脳。目の前で手を振っても反応は無く、質問には一切答えない。  時折、それらに関係無く手がピクリと動くので意識はあるようだが、とても楽観視できる状態では無かった。  ほぼ植物状態。脳死の一歩手前。現代医学では、治すのは不可能。  理路整然と並べられる、担当医の言葉。彼女はそれに憤りを覚える事は無かったが、優奈に対する同情心は強まっていった。  看護士になってまだ2年しか経っていないという事もあってか、患者への思い入れは強い方ではあった。(単純に性格のせいかもしれないが)かわいそう。なんでこんな子が。そんな事を、チューブで繋がれ、ベッドで寝ている優奈を見る度に思っていた。    その思いが、変わりつつある。この子を、幸せにしたい。せめて、最期くらい笑顔でいてほしい。
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