第1話

写真部なのか野球部なのか

「よし美雪、野球撮りに行くから準備してきなさい」
「やきゅう？」
「そうだ、日本人なら野球を見るもんだ。面白いぞ野球は」
「うん、わかった！ おかあさーん、おじいちゃんとお出かけするからお弁当つくってー」
球場に行ったけど野球は興味がなくて全然面白くなかったけど、写真を撮ってるおじいちゃんは楽しそうだったなあ。
私は野球よりも外でお弁当が食べられる方が楽しかった。おじいちゃんは真剣に試合を見ながらカメラをあっちこっちに移動して写真を撮ってたけど。
そういえば大きすぎて私じゃ持つ事もできない大きな白いレンズを使ってた気がする。遠くからでも写真が撮れる巨大な望遠レンズだ。
「美雪覗いてご覧。ほら、こんなに遠くにいるのにバッターが目の前にみえるだろう」
「うん、すごーい！ カメラってなんでも出来るんだね！」
あのでっかいレンズを見たのはこの時だけ、まだ家にあるのかもしれない。
あの時のカメラを使ったら綺麗な星空とかお月様とか撮れるかな。スマホのカメラじゃ全然綺麗に撮れない。雑誌に載っているような星が一杯の写真を撮ってみたい。