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トントンと肩を叩かれてる気がする。
「おーい、生きてるかー」
「え! ごめんなさい、勝手にソファで寝ちゃって!」
「謝る所はそこかよ、普通は勝手に部屋に入ってごめんなさいだろ?」
「え、あ、すみません! 鍵が開いてたから少し待たせてもらおうと思って……」
やってしまった、ソファに座ったまま寝てしまったみたい。
目の前には両肩に撮影機材を担いでいる女の人が私を覗き込んでいた。
「そのソファ座り心地いいだろ、オレが拾って来たソファなんだ」
体育館で写真部の紹介をしていた人だ。
体育館で見た部活紹介の時とは違って優しそうな部長さんだ。背も高くてすらっと伸びた長い足に細い腕、モデルさんみたい。近くで見るとちょっと格好いいかも。
「このソファ持ってくるの大変だったんだぜ?」
撮影機材をテーブルの上にドンと乗せ、私の隣に座る。
「お前名前は?」
「山咲美雪といいます」
「何年生?」
「1年生です、情報科に入学したばかりで」
私の目をじーっと見ている。
「えと……あの……」
「こ、このソファ色んなところが破れてますけど補修しないんですか?」
沈黙に耐えきれなくて何か喋ろうとした結果がこれだった。もっと違う話題無いの? 私のバカ!
「これか? まあそれも味ってやつだよ」「ほら、廃墟とか人気あるだろ? ところで入部希望?」
「いえ、友達が今日見学に行くから一緒に行こうって。そしたら誰もいなくて鍵も空いてたから、誰か居るのかなって思って入ったら誰もいなくて、それから……」
「まあ落ち着けって怒ってないから」
「はい、すみません……」
「じゃあ適当に見学していってくれ。今日はもう誰も来ないと思うけど気にしなくていいから、飽きたら帰っていいよ。オレはこれから野球部の撮影があるんだ、じゃあごゆっくり」
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