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「そういえば野球部の撮影に行くって言ってたよね。覗いてみようかな」
このまま部室にいてもしょうがないし、野球部の練習を見に行ってみよう。それにしてもなのははどこに行ったんだろう。
「あ、部室は開けっ放しでいいのかな」
鍵は多分部長さんが持っていると思うから仕方ないよね。カーテンだけちゃんと閉めておこう。
入り口のカーテンをしっかりと閉めて部室の中が見えないようにしておけば大丈夫だと思う。野球部はグラウンドで練習してるのかな、とりあえず向かってみよう。
私が通っていた田舎の中学とは違ってものすごく広いグラウンドがある。野球をする所とサッカーをするところがあって、テニスコートが4つ、陸上部の人たちも走る練習をしている。うちの畑の10倍くらいはありそう。端から端まで行くだけでバテてしまいそうだ。
野球部は一番広い練習場を持っていて、何十人もの生徒がユニフォームを着て練習している。
「ほんとに写真撮ってるんだ」
写真部の部長はどっしりと野球部のベンチに座っている。
野球の練習をしている部員達を巨大なレンズが付いたカメラで狙っている。
あんなに大きなカメラを軽々と振り回して凄いなあ。でもあんなのカメラを動かしていたらちゃんと撮れないんじゃないのかな。おじいちゃんは写真がちゃんと撮れるように三脚を使ってたと思ったけど。
カメラを覗く部長さんの顔はとても鋭い。目の前にあるもの全てに神経を張り巡らせて一瞬を逃さないハンターのようだ。もの凄く早い野球の打球に合わせて大きなカメラも動かしている。次にどこに打球が来るのかが分かっているのか正確に追いかけていた。
なるべく練習の邪魔にならないようにそっと後ろから近寄ってみる。野球のグランドには金網のフェンスがあるから、見学するならここかな。
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