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「……美雪」
大好きだったおじいちゃん。カメラが趣味でいつも写真を撮っていた。物心つく前からおじいちゃんに連れられて色んな場所に着いていった。
「美雪や、こっちにおいで」
「ほら、カメラを覗いてごらん」
私の身長よりも大きな三脚に取り付けられたおじいちゃんのカメラを覗く。
少し背伸びをして右目を閉じた。
カメラの中にはキラキラと光が溢れてとても綺麗。
「きらきら光ってきれいだね。赤とか青とかいっぱい」
「ほほう、美雪は目がいいのう。じゃああの木は何色かな?」
「うんとね、黄色がいっぱい!」
「そうか、黄色か。じゃあ一枚写真を撮っておこうか」
そういっておじいちゃんは喜んで写真を撮っていた。
子供の頃から私は色々な物に色がついて見えていた。自分以外の人から出てくる色に敏感だった。両親は分かってくれなかったけど、おじいちゃんはいつも嬉しそうに話を聞いてくれて、私も楽しかったな。
「……おーい…雪…」
おじいちゃんが死ぬ少し前、中学校に進学する頃から急に私の目から色が無くなった。
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