九歩目 「繋がる」

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予想した通り、びっくりするくらい食料を買い込み、傍から見ればグループデートと間違われてもいい量を手に持って、川べりを歩いた。 どこもかしこも人でいっぱい。 シートを広げている家族連れが特に多く、軽装備だったあたし達には入り込めない空気があった。 「……どうする?」 「どうしよう」 まさかこんなにも凄い人ごみだったとは。 去年はどうしてたっけ。座って見られたのは、運が良かったのかな。 「女二人なら結構つめてもらえたりするんだろうけどな」 「――え。」 「去年がそうだったんじゃねぇの? 座れなかったとか言ってないし」 考えていたことを言い当てられてびっくりした。 「……そういうものなの?」 「世の中そういうもんだよ。俺の友達、ゲーセンでバイトしてる奴がいるんだけど、クレーンゲームでちょっとおまけしてくださいって言われた時、女二人なら結構動かしてやって、男二人ならちょっと動かして、カップルだったらむしろ遠ざけるわ、って奴がいる」 「……!」 想像して噴きだした。 男子って……。 「ま、男なんてこういうもんだ」 「それは直くんも経験あるの?」
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