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ええ! 怒るでしょうよ、普通怒るでしょ!?
何なのこの、天然モテ男! それが普通だと思ったら大間違いなんだからね!?
「楓奈」
「来ないでよ」
「んでだよ」
「なんでもいいからっ!」
スルーすればいいだけの話。だってこんなこと分かり切ってたこと。
直くんがモテることくらい百も千も承知だし、そんな直くんと付き合えたことに奇跡を感じていることも事実。
それなのに心がついていかない。めちゃくちゃに傷つけたいような、泣きわめいてしまいたいような、そんな腹黒い何かがあたしを取り巻く。
「……楓奈。」
「……っ」
その声色が、さっきとは比べものにならないくらい、低く沈んだのが分かった。
何様の分際で、直くんを無視しようとしているんだ。
そんな貴方が好き。私のことは捨てないで。ってすがるのがあたしの正しい立ち位置だろう。
……分かってるのに。
ギュッと眉を顰めて、頬を膨らませた。
立ち止まったはいいものの、どんな顔をして振り返ればいいのか分からなかった。
笑えないの、上手に。
……ああもう、最低だ。
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