九歩目 「繋がる」

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す、拗ねていたわけじゃない。いや、拗ねてたけど。 そんなにさらっと言われると、拗ねてたことも忘れてしまう。……いや、忘れはしないけど。 過去を思い返すとキリがない。きっとずっと気になるし、気にする。 しまいにはもっと他のことまで気になって、ますます落ち込んでしまうだろう。 今のあたしに大切なことは、今という現実を直くんと一緒に過ごしているということ。 直くんがあたしを選んでくれたということ。 そうだよ。それを信じないで、過去ばかり気にしていてどうする。 ギュッと唇を噛みしめて、気を取り直した。 「ごめんね」 「……何が?」 「いろいろと」 「そのいろいろが知りたい」 「……言わない。てか言えない」 「言って」 「いい言えないよっ」 「――なんで」
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