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花火大会が終わる頃には、もう数えきれないほどのキスをしていた。
唇がちょっと痛くなるくらい。
びっくりした。人ってこんなにもずっとキスしていられるんだ。
ざわざわと会場を後にし始めた人の声が聞こえて、我に返った。
目の前にいるのは、今までと同じ直くんなのに、どこか恥ずかしさを覚えた。
じっ、と。
やっぱり視線の強い直くんから、そろりと視線を逸らして、俯く。
恥ずかしさでどうにかなってしまいそう。
……このまま帰ることなんてできなさそう。
「……楓奈……」
名前を呼ばれただけでほとばしる。身体の疼き、甘い余韻。
今夜は帰さないって言われたら? 言われたら、どうする!?
「俺、」
「――!!」
あたしの肩に凭れ掛かってきた直くんに咄嗟に目を瞑る。
どどどどうしよう。心の準備が……! まだ心の準備が……っ!!
「腹減った」
「っ!!!」
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