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まぁ、この人はこういう人だ。
あんなにいいムード(オーラはドピンク)だったのに、今や前と変わらずファミレスの中にいるあたし。
どうにかたどり着いたその席で、涼しい空気に触れながら直くんと2度目となる食事を取っている。
さっきまでの、あのピンクな雰囲気はどこぞ。
食事の姿すら絵になる彼と、あんなに激しいキスをしていたなんて夢でも見ていたかのよう。……白昼夢?
いやいや、昼間起こったことでもないし。
ツッコミながら、コーンスープをすする。
こちとら胸いっぱいで食事も喉を通らないというのに、この人の胃はやっぱりブラックホールだ。
「……おいしい?」
つい、訊ねてしまった。「あーん」と口を開けていた直くんが、そのフォークをこちらに差し出した。
「食う?」
「……ううん」
「まぁそう言わず」
「い、いいよっ! 食べられないっ」
「お前そう言って、さっきから何も食ってねぇじゃん」
ほら、と差し出されるフォーク。
確かに何も食べてない。上に述べた理由で身体が受け付けない。
「食べないとこの後持たないかもよ」
「……!」
おずおずと口を開けたところに、そう言われて硬直する。
持たないって持たないって……!?
脳内があはーんな想像に支配されて、混濁する。
そ、それじゃますます喉を通らないいいいい!!!!
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