九歩目 「繋がる」

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まぁ、この人はこういう人だ。 あんなにいいムード(オーラはドピンク)だったのに、今や前と変わらずファミレスの中にいるあたし。 どうにかたどり着いたその席で、涼しい空気に触れながら直くんと2度目となる食事を取っている。 さっきまでの、あのピンクな雰囲気はどこぞ。 食事の姿すら絵になる彼と、あんなに激しいキスをしていたなんて夢でも見ていたかのよう。……白昼夢? いやいや、昼間起こったことでもないし。 ツッコミながら、コーンスープをすする。 こちとら胸いっぱいで食事も喉を通らないというのに、この人の胃はやっぱりブラックホールだ。 「……おいしい?」 つい、訊ねてしまった。「あーん」と口を開けていた直くんが、そのフォークをこちらに差し出した。 「食う?」 「……ううん」 「まぁそう言わず」 「い、いいよっ! 食べられないっ」 「お前そう言って、さっきから何も食ってねぇじゃん」 ほら、と差し出されるフォーク。 確かに何も食べてない。上に述べた理由で身体が受け付けない。 「食べないとこの後持たないかもよ」 「……!」 おずおずと口を開けたところに、そう言われて硬直する。 持たないって持たないって……!? 脳内があはーんな想像に支配されて、混濁する。 そ、それじゃますます喉を通らないいいいい!!!!
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