1820人が本棚に入れています
本棚に追加
その美人は、明るい色の髪をゴージャスに仕上げ、耳元で揺らしていた。
耳には白い花のピアス。カサブランカを想像させる大きなチャームが、その綺麗な顔立ちによく似合う。
胸下で結ばれた帯がその細い腰つきを強調する。高い腰の位置に、女のあたしですら見惚れてしまうほど。
「久しぶり~! こんなとこで会うなんて!」
馴れ馴れしい声色も、あたしがいながらも易々と直くんへと手を伸ばす仕草も、きっとすべてが許される。
咄嗟に直くんから離れてしまった。
直くんの隣は、あたしよりも彼女の方が似合うと思ってしまった。
「……大津」
腕に触れた彼女を、直くんは戸惑いながらも受け止めた。
ただ、漏れた声は、それを歓迎しているわけじゃないとも分かった。
「元気にしてた? もしかして直くんも花火大会に行った帰り?」
ちらっとこちらを見られる。向けられた視線にドキッとする。
別に、見下しているわけじゃない視線。ただ確認しただけだろうに、どうしてこんなにも心が落ち着かなくなるんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!