九歩目 「繋がる」

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その美人は、明るい色の髪をゴージャスに仕上げ、耳元で揺らしていた。 耳には白い花のピアス。カサブランカを想像させる大きなチャームが、その綺麗な顔立ちによく似合う。 胸下で結ばれた帯がその細い腰つきを強調する。高い腰の位置に、女のあたしですら見惚れてしまうほど。 「久しぶり~! こんなとこで会うなんて!」 馴れ馴れしい声色も、あたしがいながらも易々と直くんへと手を伸ばす仕草も、きっとすべてが許される。 咄嗟に直くんから離れてしまった。 直くんの隣は、あたしよりも彼女の方が似合うと思ってしまった。 「……大津」 腕に触れた彼女を、直くんは戸惑いながらも受け止めた。 ただ、漏れた声は、それを歓迎しているわけじゃないとも分かった。 「元気にしてた? もしかして直くんも花火大会に行った帰り?」 ちらっとこちらを見られる。向けられた視線にドキッとする。 別に、見下しているわけじゃない視線。ただ確認しただけだろうに、どうしてこんなにも心が落ち着かなくなるんだろう。
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