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「今のは……?」
そう、あたしが問いかけようとした時と同じく、残された彼女が、待たせていた女の子たちに訊ねられた。
「すっごいイケメン。友達なら紹介してよ」
「隣に彼女いたのによく言うー」
「そういやルリの中学ってかっこいい子多かったよね~! 卒アル見た時、思ったんだよー!」
ギュッとあたしの手を引き寄せる直くんを見つめて、大津ルリという子が唇に触れる。
「……あーあ、惜しいことしたなぁ」
「え? 何?」
「ううん、なんでも。てか、直くんはあんたらみたいなギャルには興味ないから~!」
「うっわ、ひど! ルリだって人のこと言えないくせにー! そういや最近、一矢とはどういう……」
踵を返す集団の中、ルリさんは最後まであたし達を見ていた。
――ということはもちろん、知らない世界の話で。
「……、」
必要以上に力を込めた直くんの手に、あたしは言葉に出来ない不安を感じていた。
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