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「そうなんだ。どうやって付き合い始めたの? 宮里さんからコクったの?」
「一応、……直くんから」
「……へぇそうなんだ」
「!」
明らかに、声のトーンが変わった。
言わなければよかった、と思った。
しかし、顔を上げた時にはもう遅い。あからさまに興味を失ったらしいルリさんは、チップの取れた、それでも長い爪を見ていた。
「じゃあ、付き合ってどれくらい? もうえっちはしたの?」
「――ぶっ!!」
咄嗟に、噴き出してしまった。ルリさんの方まで飛んだバニラのアイスに、慌てて紙ナプキンを掴む。
「――あ、まだなんだ」
「!」
ルリさんの声が、明らかに変わった。その明るい声色は、最初にあたしに話しかけた時と変わらぬ、愛想のいい声で。
ますます、しまった、と思った。
嘘でも済んでますと言えば良かった。
だって何だか物凄く……。
嫌な予感がするから。
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