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明らかにホッとした顔。2週間が何故、ホッとする!?
「直くんから聞いてるか分からないけど、あたし、昔直くんと付き合っててさ。あの頃、4ヶ月は付き合ったかなぁ。直くんて見た目とは違って奥手でしょ? 付き合って2週間もたつのに、えっちしないなんて」
どんな貞操感だ。付き合って2週間でえっち!? えっちするものなの!?
「それで、直くんに焦ってもらいたくて、お兄さんに近づいたんだけどね。そしたらお兄さん、すっごいかっこよくて、すっごく素敵で……。ちょっとだけ気の迷いが生まれちゃったんだよね」
「……、」
どうしてあたしは、聞きたくもない彼女の話を聞かされているんだろう。
直くんを傷つけた話なんて聞きたくない。
「きっと直くん、あの時のこと怒ってると思う」
「……!」
ぽつりと呟いた彼女の声が、今までとは比べものにならないくらい、低く沈んだのが分かった。
咄嗟に上げてしまった視線に、彼女の寂しそうな表情が映る。
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