Heart of NAO

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俺の中に眠る感情で、最初に爆発したのは、これだ。 ――怒り。 怒ることさえ面倒になって、何かに一生懸命になること――それがまして恋愛だのなんだのって――ありえなくなってた俺に、たたき起こすように強い衝撃を与えたのが、楓奈であり、そしてその傍にいた田宮という男だった。 楓奈の傍に、田宮という男がチラつくとイライラする。 最初は多分、そんな感じ。 呼び出した休日、その背に捕まる楓奈の姿を見た時、思い知らされた。 嫌だ、って。 何て説明していいか分からないけど、とにかく嫌。 どうしてイライラするのかも分からない。 あいつのあの、何でも静観したかのような、スカした顔が心底ムカつくだけだと思っていた。 まさかこれが、後に「好き」という感情に繋がるなんて思ってもいなかった。 好きって気づいたのは、いつだったのか明確な時期は分からない。 取り立てて、どうこう思う容姿でもない気がするのに、なぜだろう。 あんな風に会話を続けてしまったのは。 そう考えれば考えるほど、多分、出逢った瞬間、落ちていたのだろうと思い至った。 ルリの時とは違う、わけの分からない感情。 もう、あの時のような体験はしたくないと思った。 何度もやめようと思った。 関係を断ち切れば、連絡を切れば、そのうち忘れていくだろうと思ったのに。
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