13人が本棚に入れています
本棚に追加
イヴに降った雪は姿を消し、冷たい雨が降るそんな日。
私、飛翔、時雨、小母さん。
そして警察関係者から四人ほど。
限られた人たちだけに見送られて
小父さんと、氷雨は荼毘に付された。
★
棺が吸い込まれた途端に、
発狂して再び気絶した小母さん。
再び、小母さんの意識が戻った時には、
過度なストレスが影響したのか、氷雨の死を認識することが出来なかった。
小母さんが死を受け止めたのは、
最愛のご主人の死のみ。
時雨を見ては、『氷雨は?氷雨は?』っと
来る日も来る日も、氷雨の姿を探し続ける。
時雨が『氷雨は亡くなったんだよ』っと
説明すると、発狂して意識を消失させる。
そんな繰り返しの日々に、決意をするように
時雨がとった行動は、私と飛翔が将来を危惧する選択。
双子の特製を生かしてっと言ってしまえば物は言いよう。
時雨は、弟の氷雨と同じ髪型をして
氷雨の服を身につけて、氷雨のように振る舞い始めた。
その行動は……まるで私には、
自分自身を殺してしまっているようにも見えて。
高校に通う時間は、時雨として。
それ以外のプライベートは、
氷雨の姿で過ごすようになった時雨。
小父さんと氷雨の死。
そして小母さんの不調は、
時雨自身を追い詰めるには十分な状況だった。
最初のコメントを投稿しよう!