1.時を止めた年月(じかん)時間 

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★ あにき、 写真を米田(よねだ)の おやじさんに ★ 文面はそれだけ。 急いで送信したのか、 簡単な漢字すら、変換が追い付いていない。 「時雨、これって?」 固まる時雨は、今も固まったまま。 「由貴、時雨を頼む。  氷雨を探してくる」 そう言って、部屋を飛び出していく飛翔。 外は何時の間にか 雪がちらつき始めていた。 時雨もヨロヨロとふらつく 体を支えながら、絨毯から立ち上がる。 「時雨?」 「米田さんと連絡とらなきゃ」 そう言って、時雨は リビングの方へと歩いて行く。 「時雨、米田さんって?」 私は中に一歩踏み込む覚悟で訪ねる。 「米田さんは親父の仕事上のパートナー」 そう言いながら、受話器を取ろうとしたとき、 ふいに自宅の電話がメロディーを鳴らす。 時雨は、ビクっと体を驚かせながら 受話器へと手を伸ばした。 「はいっ。  金城です」 電話に出た時雨の声に緊張が走る。 私もまた、受話器から零れる音を聞き取りたくて 息を飲むのも我慢して聞き耳をたてる。 「築城(つきしろ)警察……」 時雨が呟く、その言葉に 私は、真っ直ぐに時雨の目を捉える。 「母ですか?  お待ちください」 そう言うと時雨は保留音を押して 子機を持って、金城の小母さんがいる部屋へと移動した。 時雨の後ろ、私もついていく。
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