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「埒が開かぬな……小十郎、後どれくらいで最初の間に着くのだ。」
「三人で駆け抜けたときは、この様に長くは…。当に着いても良い頃です。」
その一歩先を進みながら、小十郎が答える。
「我が道を阻むか、摩天楼よ!」
先の見えぬ闇の中で、政宗は笑う。
初めは窮屈に感じていた体つきも、馴れて来ると身軽さとして利用出来た。
時に舞の様に身を翻し、刀は大小のどちらも駆使して。
異形を巧みに牽制し、突き進んで行く。
「不思議な戦法にござりまするな、政宗さま。」
見たことが無い。
目新しさに小十郎は感嘆する。
「ははは。戦法には無いだろう。戦無き世で嗜むは、能か…炊事くらいのものだったからな。」
「…炊事を?!」
「美味いぞ、俺の料理は。」
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