【通観】

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  少しの時を遡る。 政宗に秀吉の牽制を任された成実は、その地で静かに戦っていた。 摩天楼の麓。 斬り合いになれば難しくなるその勝負を鍔で阻止し、政宗が悠々と進めるだけの時間を稼ぐ。 「口先だけではないようだな。流石は由緒正しき伊達の名を持つ者。」 そんな成実を、秀吉は正直に褒めた。 「しかし何時までも、貴殿の時間稼ぎに付き合うつもりはない。」   ギリ…ッ。 「…っ。」 「何故、禁じの触れが出た今日にまで摩天楼を登る。あれがどんなものか、知っているのか。」 言葉と共に、剣圧が重くなる。 成実は必死に塞き止めながら返事をした。 「知りませんよ。登るのは…あいつがそうしたいって言ったからだ。」 「成程。ならば止めるべきは貴殿ではないと云う事になるな。」 秀吉が更に力を込める。 その様子を察して、成実の顔付きも僅かに変わった。 「……俺たちは、終わらせたいだけです。」 「終わらせる?」 「沢山の人が傷付いていく、戦だけの時代。」 「……。」 「その時代を作るのに、あの塔の存在は邪魔だ。」 「それは私も同感だな。…そうか。」 納得したと頷く秀吉。  
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