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「良い子の佳くんに、一つアドバイス。今日の葉月くんとの食事だけど」
「え?あ、はい」
突然、直人さんとの食事の事に触れられて、内心ドキッとする。
「明日は休み?」
「えっ…と…明日は昼過ぎからバイトです」
相楽さんの話の要点が分からず、不思議に思いながらも、聞かれた事に答える。
「明日のバイトを休みたくない、若しくは、元気に頑張りたいと思っているなら、何があっても夜の十時には帰りな」
「?…はぁ…」
相楽さんの言わんとしている事が分からなくて、生返事をする。
「ま、君の気持ち次第って事だよ」
「俺の…気持ちですか?」
「まぁ、頑張りな」
十分に理解出来ていない俺に、相楽さんはニヤニヤ笑いながら、そう返した。
そんな時だった。
不意にクラクションが鳴らされ、音がした方を見ると、走って来た一台の車が、ゆっくりと相楽さんの車の後ろに停車した。
そうして車の中から出てきたのは、今まで話に出ていた直人さんだった。
「あっ!こんにちは」
慌てて会釈をすると、直人さんはにこやかに「こんにちは」と返し、それから不機嫌そうな顔で相楽さんを見た。
「どうして、貴方がここに?」
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