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「あの…先生俺、…」
「……離して…」
搾り出したような、細く消えそうな声。
憂いを帯びた瞳。
ガラスのように透き通った瞳から、とめどなく溢れている涙。
あの日。
彼女に冷たく振りはらわれたのを最後に、
俺は彼女に突然会えなくなった。
先の見えない想いは行き場をなくして
胸の奥に重く深く沈んでいる。
夢の中。
「…っ、…」
何度も何度も
彼女の泣く声が聞こえて。
そのたびに、
「あの時はごめん…」って、彼女に声をかけて。
…この声が
泣いていた貴女の心に、ちゃんと届けられたら良かったのに。
3年経った今でも、
俺の中での彼女は声を押し殺して泣いているんだ─
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