第1章

3/5
前へ
/5ページ
次へ
コートには卓球台が2つ。 どうやら男子と女子の決勝が一斉に始まる様だ。 「ワクワクすんなぁまこっちゃん! オレの予想だと清陵の古賀は上がって来てると思うんだよ」 興奮気味の全ジャーの言葉を聞いて、観客のおじさんが遮るように言った。 「兄ちゃん残念だったな、古賀なら負けたよ」 眼鏡の方を向けていた顔をぐるんと回転させ、おじさんに向けた。 「どいつに負けたん?」 コートを指差しながらおじさんは答えた。 「あいつだ」 ユニフォームの背に付けたゼッケンを見つめる二人。 國生東中学校3年 天内楓(あまないかえで) 「ヒョロヒョロで女みたいで、信じられんじゃろうが古賀を相手に3コロじゃ。 しかし相手のちっこいワンパク坊主も侮れんぞ、全国レベルのドライブマンじゃ」 学生卓球の試合は1セット11点サーブ2本交代の5セットマッチ3セットセット先取で行われる。 1セットも落とさずに3セット連取し勝利することを3コロという。 また、卓球では様々な回転が打球に掛けられる。 ラケットを水平にして下回転を掛けるツッツキ。 下回転が掛かっている為、通常通り打ち返してもネットにかかってしまうのでこちらもツッツキで返すのがセオリーである。 しかし、そんなツッツキによる下回転を攻撃しながら破ることが出来るのがドライブと呼ばれる凄まじい上回転の必殺技だ。 そのドライブを主軸に攻めを基本とした戦いをするのがドライブマンである。 彼の名は 國生西中学校3年 圓城寺一青(えんじょうじいっせい) 一青と楓、見た目性格共に対称的な彼等がこの物語の主人公である。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加