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「ほれ、ここに調合した薬を置いておく。ちゃーんと飲んでくりゃれ。妾はちょっと用があるから、これで失礼する」
「また様子を見にくるからのー」と付け加えて、輪舞曲はツリーハウスから出ていった。
「……」
輪舞曲を見送ったアカツキは、小さく咳込みながら窓の外へと視線を移す。
まさか……自分が風邪でベッドに伏せるなど、思いもしなかった。
この世界の創造神―――オメガがやった仕事の後始末が原因なのか。それとも最近、徹夜での森の巡回の方が原因なのか。
が……どちらにしても、アカツキが無理をし過ぎたせいには変わりない。
「この私が……情けないな」
視線を下に向け、自嘲するように笑みを浮かべる。
「風邪ごときで寝込むなど…」
「でも実際寝込んでるじゃん」
ふいに、そんな毒舌まがいの言葉が投げ掛けられた。
突然聞こえた声に体を震わせ、アカツキは入り口の方へ首を向ける。
その声は、さらに続けて言った。
「アンタが家から出ないなんて珍しいなと思ったら……こういうことだったんだ」
足音がだんだんと近づいてきている。
そして、その足音が最高潮になった時
「どうも、神様」
「…こんにちは、アカツキさん」
ライムグリーンの無造作髪と青いコートが映える青年と、その青年と顔が瓜二つの少女が大きな袋を持って入ってきた。
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