恋敵 コイガタキ-2

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長谷部さんが予約してくれたのは、こじんまりとした居酒屋だった。 店内は広いとは言えず、席数も少ない。 カウンターとテーブル席の奥に小さな座敷が一つあった。 「ああ、みゆきちゃん、奥ね!」 店内に入ると同時にカウンターの中から女将さんがお客さんに料理を出しながら声を張った。 その隣ではご主人が忙(セワ)しなく動き回っている。 「ありがとう」 長谷部さんは明るく返事をして、室長を先に座敷に促した。 室長が先に上がる間に、私は彼女に聞いた。 「長谷部さん…よくここに来るんですか?」 すると彼女は私に耳打ちしながらカウンターを指さした。 「そう、いつも一人で、あっちの席」 「…そうですか」 「さ、上がって」 そして彼女は離した体をもう一度私に寄せた。 「…室長、近くで見ると、ホントにいい男ね」 長谷部さんはそう言うと、座敷に足を進めた。
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