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酔い潰れかけていた私に、己一は自分のベッドを貸してくれた。
決して寝心地が良いとは言えない脚付きマットレス。
だけど己一が私の体を支えてベッドの上に乗せてくれた時、触れ合った体に伝わる彼の体温がとても心地良かった。
できるなら、このまま彼と一緒に眠りたかった。
だけど虚ろな意識の中でも、私はしっかりと自分を抑えていられたようだ。
温もりを求める相手は、誰でもいい訳じゃない。
曖昧な関係のまま体を重ね、ずっと私は苦しんできたのだから。
“恋愛”でも“遊び”でもない不確かなものに縋り、気付けば本気で彼の事を好きになっていた私。
だけどその思いは報われず、曖昧なまま彼は私の傍からフェイドアウトしていった。
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