第2章~対面~

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「……ニャー……。」 「飯を食ったら少しは元気になったか」 暖をとりながら胡座をかく井上の傍にはあの仔猫が存在した。 真っ白い、真っ白い、小さな仔猫。 小さな、小さな身体。 そっと仔猫の毛並みを撫でようとした井上だが、その手は止まった。 「……白を赤には染めるなど……」 「縁起でもない」と、我にかえればずぶ濡れになった自身の羽織を衣紋掛けにかけ、直ぐに床についた。 頭元に置く行灯の灯りは井上を照らす。 真っ白い肌に、長い睫毛。 おなごのような雰囲気を漂わせるが、おなごなどではない。 井上勇太朗 若干十六歳というまだあどけなさも残る顔つきを、寝床に浮かべていた。 飯もとらず、直ぐに床に入った井上の傍に警戒しつつも仔猫は寄り沿い、蒲団の上にのれば井上は小さく呟いた。 「気ままな奴だ」
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