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「井上、あまり無茶をするな」
「無茶などしていませんよ」
上品な三味線の音色に合わせ、二人の青年が言葉を発した。
一人は威風堂々ともいえる雰囲気を纏いながら座敷に座り。
方やもう一方の青年、井上は対極に位置する青年に凛と答えつつ伏せがちに視線を落とした。
座敷の一室には、変わらず芸この弾く三味線の音色が響く。
「ならいい」
「桂さん」
「なんだ」
井上は、桂と呼んだ青年に視線をあげた。
「先生は……。河上さんはお元気ですか」
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