15人が本棚に入れています
本棚に追加
担架から、だらんと落ちる腕…。
頭から流れた大量の血…。
救命士が名前、年齢、性別、事故の状況など、早口で告げる…。
一瞬、何かが重なった…助けなくては…。
この命を助けなくてはいけない。
救急車から一緒に降りてきた女性は、青白い顔をして涙を流している。
…私…。
彼女の姿が、当時の私と重なる。
「お願いします。助けて…。」
彼女の悲痛な叫びに、胸が締め付けられる。
「落ち着いて。必ず助かると彼を信じてあげて。」
私は彼女の肩を抱き、優しく…強く言葉を発した。
彼女と彼を救うのが私の使命…。
そして、それを成し遂げた時に私救われる…そんな事が頭をよぎった…。
ーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
処置室で、声をあげ指示を出す医師と慌ただしく、でも的確に動く看護師。
緊迫した空気が流れ、みんながその命と真摯に向き合う…。
最初のコメントを投稿しよう!