第3章

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担架から、だらんと落ちる腕…。 頭から流れた大量の血…。 救命士が名前、年齢、性別、事故の状況など、早口で告げる…。 一瞬、何かが重なった…助けなくては…。 この命を助けなくてはいけない。 救急車から一緒に降りてきた女性は、青白い顔をして涙を流している。 …私…。 彼女の姿が、当時の私と重なる。 「お願いします。助けて…。」 彼女の悲痛な叫びに、胸が締め付けられる。 「落ち着いて。必ず助かると彼を信じてあげて。」 私は彼女の肩を抱き、優しく…強く言葉を発した。 彼女と彼を救うのが私の使命…。 そして、それを成し遂げた時に私救われる…そんな事が頭をよぎった…。 ーーーーーーー ーーーーーーーーーー 処置室で、声をあげ指示を出す医師と慌ただしく、でも的確に動く看護師。 緊迫した空気が流れ、みんながその命と真摯に向き合う…。
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