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カチャン…。
処置室では片付けを始める音が響き…。
慌ただしかった足音は、静かになり…変わりに
…ピッ…ピッ…ピッ…
彼の規則正しい心臓が電子音となり響いていた…。
扉の向こうにいる彼女は俯いて、両手を握り強く祈っている。
ゆっくりとした歩調で医師が側に行き、彼女の肩をポンッとたたく。
「彼はよく頑張りました。まだ油断は出来ませんが、あなたを置いて逝く事はないでしょう。」
医師の言葉は、彼女の心を癒すと同時に私の心をも癒した。
ふと自分の頬に暖かな雫が流れるのを感じた。
私は彼女に歩み寄り、彼女の堅く握られた手を自分の両手で包んだ。
「良かった…。早く彼の側に…。」
そういって彼女の背中をポンッと押した…。
彼女は私を見て、一瞬驚き…そして駆け足で彼の元へ行き、震える手で彼の手を握りしめた。
看護師が涙を流すなんて…って変に思ったかな…。
私は、心に閉ざされた記憶に向き合う日が近づいていると感じた。
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