第3章

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------ ------------ いつもならクタクタになって、着替えて帰るのもイヤになるくらいなのに、今日は太陽の眩しさも心地良いくらい、気持ちは晴れやかだった。 「紗良先輩…あの…。」 更衣室で看護師2年目の、川奈 唯が声をかけてきた。 普段、同僚とも必要最低限の会話しかしない私は、彼女が少しビクビクしているのがわかった。 「紗良先輩…私…うっ…ひっく…。」 え?なに?私今日はキツイ事言ってないよね? 「私、看護師辞めません。紗良先輩を目標に、目の前の命から目を逸らさずに頑張ります…うっ…うっ…。」 「川奈さん、命と向き合うのは難しいね…。でもそれと本気で向き合うことができたら、人はまた前に進めるのかな。ありがとう。」 川奈さんは、私を見て少し驚いて、柔らかい笑顔を見せた。 ------ ------------ 「目の前の命…か…。」 布団にうずくまり、川奈さんの言葉を呟き、静かに…でも確かに心が満たされたように感じながら、眠りについた。 ------ ------------ ------------------ 『…紗良…紗良、僕は紗良を見守っているよ…君の幸せを願っているよ…』 『…陸…。』 気がつくと夜の8時。 自分は夢を見ていた。 陸の夢を、陸が亡くなってから初めて見た。 陸が私に会いに来てくれたような気がした…。 私は、不思議と陸が抱きしめてくれているような気がした…。 そして、一歩前に進まなきゃと胸に手を当てた。
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