第1章

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~悲しい過去~ ………カタン。 …一輪挿しにした、向日葵の花が静かに… ゆっくりと…誰の目にも触れられる事無く、哀しげに倒れた…。 誰にも……さよならを言わずに。 夏がくるたびに、あの日の事が今現在のように蘇るり、私の心を締め付ける。 5年前の夏の暑い日の悪夢…。 夫は私ではない人と、もう二度と会えない世界へと旅立った。 ーーーー ーーーーーー 6年前の夏。 私、相川紗良は23歳の時に、7つ年上の愛する人、高藤陸と結婚した。 「陸、本当に私で良いの?」 「僕は、紗良じゃなきゃダメなんだ。君の母性みたいな…いや、柔らかい心…ん?違う。」 照れた顔で私をチラリと見る陸。 「ふっ。ありがとう。私も陸の事が大好きだよ。幸せになろうね。」 嬉しくて涙が出た。 あれが最後の涙になるなんて…。
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