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幸せを誓う言葉。
愛を囁き合う。
同じ家で同じ時間を過ごし、同じ景色を見て幸せを噛みしめる。
こんな普通の生活が幸せで…。
いつからだろう…陸の心の中に私の居場所がなくなったのは…。
いくら考えても分からない。
どれだけ語りかけても、もう…陸の声…聞こえないよ。
お願い…。
陸…声を聞かせて。
あんなに愛し合ったじゃない…。
私と死ぬまで一緒だと言ったじゃない…。
一人ぼっちにさせないって言ったじゃない…。
私は一人ぼっちだよ。陸への愛と恨みと…陸を失った悲しみから一人…時間が止まったままだよ…。
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「陸君、車のスピードを出し過ぎてガードレールを曲がりきれ無くて……即死だったって…。」
「女の人と一緒だったって…お腹に赤ちゃんがいたみたいよ…。」
「見つかった時、二人手を握って彼女を守るように抱きしめていたって…。まだ結婚して一年…紗良ちゃん、なんて可哀想なの…。」
「相手の方は浮気相手だったってことよね?」
「何だか個人情報とかあるらしく、都合の悪い事は詳しく教えてもらえないとか…。」
「そんな…紗良ちゃんは、一生真実を知る権利が無いってことなの?可哀想だわ。」
親戚がコソコソ話す声が、私の心を鷲掴みにして抉って…。
私を悲劇のヒロインへとしたてあげ…。
私の未来なんてもう無いんだって言われてるようで。
もう五年もう経つのに、陸のそんな話しばかり…陸の幸せだった記憶を振り返る人はいなかった。
陸は、早くに母親を亡くし、父親と二人暮らしだった。
父親思いで、優しくて…。とても苦労して…。
でも、弱音なんか吐かなくて何時も周りを楽しませて幸せにする…そんな人だった。
仕事も、商社では異例の早さで課長となっていた。
彼は後輩や先輩、家族からも、信頼が厚かった…。
私と結婚して、間もなく彼は本社のある、東京へ転勤となった。
今でも彼は本当に私を幸せにしたいと思っていたと思いたい。
私も彼に母親のような寛大な愛を注いで行きたいと思っていた。
私も仕事をしていたから、ひと段落したら、退職して陸の元へいくつもりだった。
陸は真面目で、仕事を完璧にこなし…離れて暮らす私に気を使い…。
きっとどうしようもなく、心も体も疲れていたんだと思う。
新婚で浮かれていた私は、そんな陸の心に気がつかなかった…。
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