第2章

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彼といた時間を封印したまま、仕事も一度は辞めた…。 でも、何もしないでいる事は生きている私には、死刑宣告をされ、それが実行されるのを待って、怯えているような気がしていた…。 私は、救命救急のある病院に勤め始めた…。 彼と結婚してからは、のんびりしながら、好きな仕事を続けよう…って思っていた。 なのに皮肉にも彼を忘れようと仕事に没頭し、私生活の事なんてどうでも良くなるくらい忙しい救命病棟…。 好きな仕事を利用して、愛する人を忘れる…私はなんて酷いんだ…。 顔を両手で覆った…本当ならここで涙が出てもおかしくない…。 でも、私は涙が出ない…。 心の中から“悲しみ”と言うワードがなくなったのか…。 毎日、職場と家の往復。 始めは、職場の人達も彼の亡くなった状況は知らず、ただ私を哀れんだ…。 次第に仕事に没頭する私を見て、また哀れんでいるかもしれない…。
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