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「任務の内容によって実行する者を決める。それで、あの二人の戦闘力と主な事を言う」
翠は、その言葉にキョトンとなる。
むしろ理解出来ない様子だ。
「そ、そんなモン主が知っていれば良いではないのか?」
「これからの任務にあたり、パートナーの戦闘力を知っているに限り悪い事ではない。むしろお互いの事を知っていると、それなりに対処出来る」
つまり、任務にあたり政府軍に見つかってもお互いの戦闘力で切り抜けられるかもしれないという事だ。
それでも分からないという風に翠は首を傾げるが、それを無視して狗威は話を続ける。
「銀(氷苗)の場合、彼女は主に刀を使用して任務に遂行する。普段は短刀を使うが、任務の内容により長刀なども使う」
(そういえば、氷苗殿は短刀を背中に差しておったのう…)
「紫水晶(菫)の場合、戦闘力は全く無いが治癒術はそこらの医者よりか優れている。激しい戦闘になるかもしれない任務は必ず同行させる」
「それじゃ、今夜の任務は戦闘になるかもしれんのか!?」
狗威の言葉に翠は強く反応して、勢いよく立ち上がる。
しかしそれに驚きもせず狗威は言葉を発する。
「落ち着け。紫水晶が同行するからと言って全ての任務が戦闘ではない。もし戦闘になったとして、一般人を巻き込む場合がある。その時の為にも紫水晶は任務に同行する場合が多い。今回はその為に同行させた」
少し安心したのか、翠は椅子に大人しく座った。
しかし、戦闘は免れない。
この時間、(12時)位でも働いている者はいるし、勤務時間が終わり、家に戻っている途中の者もいる。
夜に任務を行うとしても絶対に安全とは言えないのだ。
忍者を悪者とみなし世間に広がったのだから、一般人が忍者を見つけて警察に通報する場合もある。
たとえそれが子供だとしてもだ。
「主」
色々考えたら、危険と隣り合わせ。
不安を、狗威に言おうとする翠。
「何だ」
それを分かっていても、狗威は嫌がらずに返事をする。
「いつになったらワシら(忍者)に自由は来るんじゃろう…」
一番の望み。
忍者最大の、悩み。
忍者の誰もが思う、気持ち。
「この世界は残酷だ。上が下を支配するのは最古から行われてきた事だ。それは今も変わらない」
上の者が「死ね」と言えば下の者は死ぬ。
現代。
それは今も、変わりようは無い。
「今は、何とも言えない状況だ」
自由になる日は見えない。
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