58人が本棚に入れています
本棚に追加
**
一瞬、
何が起きたのか解らなかった。
急に抱きしめられて、
すごく嬉しそうに。
そう言われると思ってた。
店長がそんなことを話してたから。
「一緒に住んじゃいなさいよ。
もういい歳なんだし、お昼だけ食べるって…
付き合ってるって言える?」
みんなが居るとき。
希の誕生日の日。
考えてみたら、
あの時に話があると言ったのはこの話だったのだろう。
すごく思い詰めてたみたいだったから、
緊張して…
そう言われたら返事はなんて言おうかと考えてた。
答えは出なかったけど。
あ、子供たちの前…
そう思ったときに歓声が大きくなる。
ゴールが決まったんだ。
周りの人たちが思い思いに飛び跳ねたりハグしたり。
それに紛れて、
ゴールを喜んだ真似をした。
子供たちの手前。
「すみませんでした。
いきなり。
でも、良かった!
言い出すのに勇気がいったんです。」
耳元で叫ばれて…
私は…OKしたんだ…
と、
知った。
だけど、
付き合ってるって事は、そこに向かってるって事だものね。
これでいいんだ。
難しく考えるより、
サクッと進んだ方が上手く行くこともある。
微笑み返すと…
目尻を思いっきり下げた宋さんの笑顔。
大丈夫。
この人は誠実な人だから…
最初のコメントを投稿しよう!