最終章

10/40
前へ
/40ページ
次へ
** 一瞬、 何が起きたのか解らなかった。 急に抱きしめられて、 すごく嬉しそうに。 そう言われると思ってた。 店長がそんなことを話してたから。 「一緒に住んじゃいなさいよ。 もういい歳なんだし、お昼だけ食べるって… 付き合ってるって言える?」 みんなが居るとき。 希の誕生日の日。 考えてみたら、 あの時に話があると言ったのはこの話だったのだろう。 すごく思い詰めてたみたいだったから、 緊張して… そう言われたら返事はなんて言おうかと考えてた。 答えは出なかったけど。 あ、子供たちの前… そう思ったときに歓声が大きくなる。 ゴールが決まったんだ。 周りの人たちが思い思いに飛び跳ねたりハグしたり。 それに紛れて、 ゴールを喜んだ真似をした。 子供たちの手前。 「すみませんでした。 いきなり。 でも、良かった! 言い出すのに勇気がいったんです。」 耳元で叫ばれて… 私は…OKしたんだ… と、 知った。 だけど、 付き合ってるって事は、そこに向かってるって事だものね。 これでいいんだ。 難しく考えるより、 サクッと進んだ方が上手く行くこともある。 微笑み返すと… 目尻を思いっきり下げた宋さんの笑顔。 大丈夫。 この人は誠実な人だから…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加