最終章

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病院の近くの喫茶店。 同級生がやってる店。 昔は嫌いだったけど、大人になってからは過去のことも笑い飛ばせる関係になって… って言うか、 そうやった方が住みやすいこの街。 そうやって折り合いを付けてきたんだ。 今までは。 ここに来るまでに、 松田遙人は何人もの人に声を掛けられ、 サインを求められたり握手をしたり。 大変だな… 5分のところを30分も掛かって。 屈折するわけだ。 自由じゃない。 ま、 それは自分が望んでいることだと思うけど。 自分の気持ちを吐き出してた。 この店は席との衝立が高くて他に声はほとんど漏れない事を知ってたから、 何もかも捨てる覚悟はあるのだということ。 今更、 彼女に近付いても、 もう可能性なんか無いという事を伝えたかった。 だってそうだろ? じゃないと、 彼女は私とのことを頷いたりしないはずだ。 未来など見ないはずだと… 何か確信に近い想いを吐き出したんだ。 松田遙人は何もいわなかった。 時々、 憎しみにも似た眼差しで俺を睨みつけるけど、 言葉には出さなかった。 悔しいほど端正なキレイな顔で、 こっちをジッと見るその世界観に引き込まれそうになる。 これが、社長が言ったなんか違う…と言うことか。 こんなに目に勢いがある人間を俺は知らない。 悲劇を装ってるのか、 諦めているのか、 何もいわずにただ、 話を聞いている。 だけど、 それで納得してるようでもないし… 考えてることはよく解らなかった。 いつでも受けてたちますよ? 何か、 強くなれた気がするんだ。 スーパーマンのように、 愛する人を悪いヤツから守るみたいに。
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