最終章

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「私の家に来ませんか?」 それはスタジアムの歓声の中。 やっと言えた言葉だった。 一緒に暮らそう。 そういうつもりで。 「ええ! 行ってみたいです。 いつがいいですか?」 そんな返事が返って来るもんだから… 彼女を掴まえて耳元で叫んだ。 「一緒に暮らそう? 離れてると心配なんだ。」 一瞬… 音が消えた 何も聞こえない時間だけが過ぎて… 驚いた顔の彼女が 少し笑った。 それが返事だと思った。 いいよ? って言ったような気がして… つい、 抱きしめてしまった。 嬉しくて。 やっと…言えた。 ずっと想っていたこと。 そして、 彼女は笑ってくれた… そんな風に喜んだんだ。 彼女の心の中なんて、 何も知らずに。
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