間違い犬と異世界少年

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 みなさんこんちわ。オイラの名前はヤス。みんなに愛される柴犬(しばけん)だ。  飼い主であるご主人様に飼われて5年。幸せに生活してるッス!  毎日飽きるくらいの山盛りのドックフード(ごはん)を食べ、  暇なときは外に出て近所の猫に一声吠えりゃぁたちまち逃げていくあの爽快感。  それにも飽きたら今度は飼い主(女性)のところにすり寄れば、オイラを抱き上げそのまま二つの山、すなわちおっぱいの元へゴーシュート! いいね、人生最高。  しかし、オイラにも最近悩みというもの存在するのだ。  それは……5歳(人間の年齢だと35歳前後)だというのにまだ一匹も彼女ができていないんだ……。  オイラも今年で犬業界の中でもいい年齢を迎えるというのに……はっきり言おう、このままいくとマジヤバい!  オイラだって彼女はほしい。  毎日食っては寝て、暇なら猫をもてあそび、飼い主のおっぱいに埋もれる。  そんな生活ばかりしてるせいで他のメス達がオイラの元から距離をおこうとしているのはわかってる。           ◆  三日前に、外でいつもみたいに猫で遊んでたら可愛いメスのトイプードルを見つけた。  もう自分の中でどストライクに可愛い別嬪さんでしたよ。  んで、見つけたったが吉日。すぐに彼女をナンパしたんだ。 「へい彼女! 俺と一緒にお茶しない!?」  彼女は苦笑いをしながら言った。 「え、なんですか~?」 「いや~君みたいな可愛い子といっしょに遊べたらなとおもってさ!」 「え~、私そんな可愛くないですよ~」 「いやいや可愛いよ! だから、ね! 一緒にお茶しよ」  オイラはそっと彼女に手をかける。 「えっ……ちょ……やめてください」 「いいじゃんいいじゃん。ちょっとだけだから」  少し力を入れ引き寄せたその時、 「やめろって言ってんだろ……柴犬風情が……」 「…………」  開いた口がふさがらなかったよ。  なに? 犬業界のメスってあんな奴しかいないの? オイラそんなだったら犬業界で生きていけないよ?  もうオイラのハートはずたぼろだよ! もう無理……立ち直ることなんてできない……。
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