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そんなことがあった。
彼女はほしい。だけど、あんなことがあった後で、「さて、次いきますか」っていう超最新式高度テクはオイラに持ち合わせていない。
無理だよ、絶望したよ……犬業界に……。
そんなある日、飼い主が再婚することになった。
お相手はなんと、飼い主とは違い猫好きの人だった。
飼い主のお相手が飼っている猫というのが、なんでもシャム猫というメス猫らしい。
そのお相手が、お互いに飼っている犬猫を見せ合おうということで連れてくるらしい。
オイラは思った、なんでそんなのが来るの……っと。
しばらくして、飼い主のお相手が遊びに来た。猫も一緒に連れてきて――
飼い主たちは二人意気投合し話し合い、オイラたちをのけ者にしていた。
仕方ないと思い、オイラがお相手の連れてきた猫とかまってやろうと思って近づいた。
「よお! オイラはヤスだ。よろしく」
「…………」
「なんだかお互いのけ者にされた気分だよな」
「…………」
「……なんか言えよ。オイラだけがお前に話しかけてるみたいじゃないか」
「実際そうではなくて? 私はあなたに一言もかまってほしいなんて言ってはいないし、話しかけてとも言っていない」
何とも無愛想なやつだと思った。
「わかったら私に話しかけないで」
そういって彼女は家の窓から出ていった。
可愛げのないやつ。これだから猫は……。
飼い主にはオイラが子供のころからお世話になってるから、飼い主の手伝いになろうと思ったけど、やっぱ無理。
オイラはともかくとして、相手があれじゃどうにもならないよ。
やめだやめだ、もう猫と仲良くなろうだなんて考えるのはよそう。
そうしてリビングのオイラのお気に入りのソファーでお昼寝をするのだった。
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