第二章 和泉 則之の影

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   ナンバー1のキャストの客を持って行かれれば、純粋にその売り上げも持って行かれる。それだけの客を失えば、店の活気にも少なからず影響するのだ。  気になるのは、舞夢の今後である。  舞夢が着いたテーブルでは、辞める話題が出ると、「辞めて、どうするんだよ」と客から声があがった。それに対し、舞夢は「千葉だよ」と、しれっと答えている。  店長は、それで舞夢の今後を知った。  どうやら、千葉のキャバクラへ移籍するようだ。同じ歌舞伎町内のキャバクラで無いなら、多少は被害が少なく済むかもしれない。 「済むわけが、ねぇだろうが」  店長は、そのようにボヤいた。  この店が、地域で五本の指に入る程の売り上げを誇っている。それは、誰であろう舞夢のお陰である部分が大きい。  そんな舞夢の太客は、熱狂的な彼女のファンである。  移籍先が大阪だろうが、札幌だろうが、沖縄だろうが関係無い。
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