第二章 和泉 則之の影

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   話し合いを、長時間行う訳にも行かず。舞夢は、解放されフロアに戻された。  そこで舞夢は、強硬手段に出る。  行く先、行く先のテーブルで、担当の客に辞める事を宣言する。そうする事で、店長に認めさせようとしたのだ。  お陰で、店内は騒然となる。  ナンバー1のキャバクラ嬢が辞めるという事。  客にしてみれば、贔屓にしている女の子が店からいなくなる。完全なる引退なら会えなくなるが、店を移るならば会いに行く事は可能だ。  それだけを、確かめられればいい。  しかし店にしてみれば、極めて大問題となる。  仮にその女の子が、水商売から足を洗うとする。それでも、店に来る客は大きく減ってしまうだろう。それでも指名替えなどして、残る客もいると考えられる。  だがもしも、他の店へと移籍するとしたら。しかも、それが同地区の他店だったとしたら。  客は、根こそぎ持って行かれてしまう。
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