プロローグ

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   薄暗いバーのテーブル席。  スキンヘッド男が、一人バーボンを煽り顔を歪める。そしてもう一度、バーボンを口に含んで店の入り口へと目をやる。  だからと言って、誰かが来た訳では無い。  また誰かが、来る宛てがある訳でも無さそうである。  どちらかと言えば、入り口辺りを警戒している様子。  七月に入り、今年の猛暑を予感させるかの如く、連日真夏日が続いている。そして、毎晩の熱帯夜。  梅雨など、とっくに開けていた。  異常とも言える早い梅雨明けに、猛暑と共に水不足が心配される日々が続く。  暑い、とにかく暑い。  だが男は、ジャケットを身につけ、ワイシャツの第一ボタンまでしっかりと締めている。  店内には、確かに冷房が効いている。薄着の人間ならば、それで快適な室温となっている。だが、男の服装ではどう考えても暑い。  しかも男は、その服装でここまで来たのだ。
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